ISO/IEC 17025とは
ISO/IEC 17025とは、試験又は校正を行う能力に関する一般要求事項を規定した国際規格です。
ISO/IEC 17025は、試験所及び校正機関が以下を実証しようと望む場合、試験所及び校正機関が満たさなければならないすべての要求事項を含んでいます。
- マネジメントシステムを運営し、
- 技術的に適格であり、
- 技術的に妥当な結果を出す能力がある
ISO9001は上記1〜3のうち、1に関係がありますが、2及び3の技術能力に関する項目は含んでいません。従って、試験所や校正機関はISO9001の認証ではなくISO/IEC 17025の認定を取得するのが国際的に一般的です。
試験所がISO9001の認証を取得しても、技術的に妥当な結果を出す能力を実証することにはならないからです。
逆に、ISO/IEC 17025の作成にあたっては、試験所・校正機関のマネジメントシステムに含まれる試験・校正サービスの範囲に該当するISO 9001の要求事項をすべて取り込むように注意が払われました。
そのため、ISO/IEC 17025には、試験所及び校正機関がこの規格の要求事項に適合している場合、その試験・校正活動に関してISO 9001の原則を満たす品質マネジメントシステムを運営しているであろう、という主旨の記述がされています。
しかしながら、ISO 9001のすべての要求事項に適合していることを意味するものでもない、との記述もされています。
ISO/IEC 17025は、主に次の2つから構成されています。
「管理上の要求事項」
→ 健全なマネジメントシステムに関する要求事項
「技術的要求事項」
→ 試験所・校正機関が請け負う試験・校正の種類に応じた技術能力に関する要求事項
試験所認定とは、特定の種類の試験、及び校正を実施する試験所(試験所、及び校正機関の総称)の技術能力を決定する手段の一つです。
また能力ある試験所の正式な承認であることから、顧客ニーズを満足する信頼性のある試験、及び校正業務を識別し、選定するための簡便な手段を顧客に提供するものでもあります。
認定機関は、試験所の詳しい連絡先に加えて試験能力に関する情報を含めた認定試験所リストを公表しており、これは潜在的顧客に対して試験所の認定業務を紹介する手段の一つです。
認定とは試験所にとって有効な市場開拓ツールであり、独立に検証された試験所であることを要求する契約者に入札する際のパスポートにもなります。試験所認定はは、信頼できる技術能力の指標として、国際的に高く評価されています。
世界各国には、その国の試験所認定に責任を有する一つ以上の組織があります。それら認定機関の多くは、国際規格を認定の基礎とし、試験及び校正活動の認定ではISO/IEC 17025を採用しており、これは各国の試験所の能力を決定する方法を統一化するのに役立っています。
又試験所は可能な場合、国際的に認められる試験及び測定業務の運営方法を採用するよう奨励されます。
この統一的アプローチは相互承認と呼ばれる国際的取り決めの確立を可能にしています。相互認証は加盟諸国間での試験データの受け入れを可能にするために、必要不可欠なものです。本協会を含め世界で50以上の試験所認定機関が多国間相互認証(ILAC,APLAC)に署名しており、これは署名国の国境を越えてデータの受け入れを大いに促すものです。